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第一章 初戦 17

「あれ? この間、染め物問屋の息子と見合いをしたって話は……」


「あんなのとっくの昔に破談になったわよ。『家庭的な女がいい』とかふざけたことぬかしたから、怒鳴りつけて帰ってきてやったわ。そんなことより、幸允(こういん)。あんただってそろそろ嫁に来てもらう年頃でしょ? 誰かいい人、見つかってないの?」


幸允と呼ばれた背の高い大きな体格の若い男は、眉をひそめた知子に問い詰められると、ばつが悪そうに視線を逸らす。


「えっ……いや、その……うちの仕事が忙しいもんで……」


「あんたの家は鰹節屋なんだから、そんなに忙しくないでしょうが!」


「そ、そんなことねぇよ! 最近は一般家庭でも鰹節の消費量が多くなってて、需要に対する供給が……!」


「はいはい、じゃあ鰹節とでも結婚してなさい」


知子が呆れた様子で幸允の弁解を鼻先であしらうと、その様子を見ていた守央は可笑しそうに笑った。


「ハハハッ、お前ら相変わらずだな」


守央がそう言うと、清栄は再び口を開いた。


「そういう守央さんは、最近どうなんですか? また一緒にティーの稽古でもしましょうよ。もちろん、カキダミシでもいいですよ?」


「ほう、そうか。そりゃちょうどよかった。お前ら、今カキダミシの相手探してるんだろ? ちょっと頼みがあるんだ。とりあえず、海岸まで移動しないか?」


「はあ、いいですけど……」


清栄は守央の意図が掴めず、きょとんとした表情を浮かべてそう答えた。
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