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第三章 真意 後篇 13

「じゃあ、長嶺さんの弟子は、やっぱり村上に命令されて……!」


守央と世璋がそう驚く中、光永は男と話を続ける。


「その少女は今どこにいる? 村上と一緒にいるのか?」


「詳しい居場所は俺達にもわからねぇ。けど、最近村上の兄貴は、夜になると臨時で雇われた用心棒達を連れて辻に出掛けてるらしいんだ。何しに行ってんのかはよく知らねぇけど、多分兄貴のことだから、皆と一緒に遊廓で飲んでるんじゃねぇか? あの小娘も一応兄貴の護衛を任されてる用心棒だし、もしかしたら今夜も村上の兄貴と一緒に辻まで来るかもしれねぇな」


「やはり、辻の遊廓か……」


光永は呟くようにそう答えると、腕ひしぎ十字固めを解き、男の右腕から両手を離した。


その場から立ち上がった光永は、衣服に付いた汚れを払い落とし、乱れた服装を整えながら男を見下ろす。


「情報提供、感謝する。手荒な真似をして済まなかったな。では、失礼する」


光永はそう言いながら男に踵を返すと、歩き出しながら守央と世璋にも声を掛けた。


「守央、世璋、ご苦労だった。そいつらは放してやれ。今夜、もう一度辻村へ行くぞ。まずは一旦戻って、情報の整理から始めよう」


「わかりました」


「ふぅ~、ようやくこの仕事も終わりが見えてきたな~」


そう答えた世璋と守央は、それぞれ取り押さえていた男達から離れると、去り際に一言ずつ彼らに声を掛けた。


「じゃ、俺らもう行くわ」


「仕事の邪魔して悪かったな」


そして、守央と世璋はそう言い残すと、光永の後に続いて船着き場から立ち去っていった。


3人の大きな体格の男達はゆっくりとその場から立ち上がると、歩き去っていく光永達の背中を睨み付けた。


「くそぉ、あいつらぁ……」


「村上さんに報告しておくか」


「やめとけ。あいつらには本当のことを話したんだ。実際、俺達は村上の兄貴がどこで何やってるかなんて知ったこっちゃねぇし、そもそも兄貴は滅多にここに来ねぇじゃねぇか。それに……」


大きな体格の男の1人は、額に冷や汗を浮かべながら言葉を続ける。


「もう、あんなおっかねぇ連中に関わりたくなんかねぇや……」


彼らの視線の先では、遠くに見える光永と守央、世璋の3人の背中が、徐々に船着き場から離れていこうとしていた。
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