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第三章 真意 後篇 17

梨奈は、昨夜浜辺で戦った守優の姿を思い出す。


「あの男の子は多分私と同じくらいの年だけど、でも私より絶対強い。体の使い方が私と全然違ってた。まるで、型を稽古する時みたいに動きが滑らかで、速くて、力強かった。多分、何度も型を練習して、何も考えなくても無意識にティーの動きが出来るように、修業してきたんだと思う。それに比べて、私はまだ全然未熟で、もっと修業しなきゃって……そう思いました。だから私、先生の所に戻ります。松浦商会の人達にも悪いことしちゃったけど、もう私はこの争いに手を貸しません」


そして、梨奈は再び毅然とした態度を見せ、真っ直ぐな眼差しを村上に向けた。


「今まで、ありがとうございました。私は今日で、村上商会の雇われ用心棒を辞めます」


「この小娘が……」


梨奈の言葉を聞き、額やこめかみに血管の筋が浮き出る程頭に血が上った村上は、やがて鬼のような形相を浮かべて激昂した。


「お前、それが謝って済む話だと思ってんのか!? ああ!?」


村上は梨奈に向かってそう怒鳴りつけながら、左手で彼女の胸倉を掴み上げる。


「金がねぇから働かせてくれって急に言ってきたのは、どこのどいつだ!!? どこの馬の骨かもわからねぇ家出娘に、飯と寝床を用意してやったのは誰だと思ってやがる!!?」


そして、村上が左手で梨奈を突き飛ばすと、梨奈の体は部屋の壁に勢いよく叩きつけられた。


梨奈が顔をしかめて畳の上に倒れると、村上は再び梨奈の胸倉を左手で掴み上げ、怒りに満ちた眼差しで彼女を睨み付ける。
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