FC2ブログ
 

第三章 真意 後篇 21

町屋の目の前を横切る人通りの無い道を右に曲がると、軒先の提灯によって薄暗く照らされた街の中を、彼女は全速力で駆け抜けていく。


(急がなきゃ……私のせいで、たくさんの人に迷惑がかかって、たくさんの人が傷付いて……先生、ごめんなさい……でも私、最後にちゃんと自分でけじめつけますから……!)


そして、梨奈は険しい表情を浮かべながら、道なりに街の中を走り去っていった。


一方、彼女が去った後の町屋では、3人の男達が2階の廊下を歩いており、梨奈と村上が争っていた部屋に差し掛かろうとしていた。


「村上さん、さっきなんか大きな音がしてましたけど、何かあったんで――」


すると、男の1人がそう言い欠けながら、襖が開いたままの部屋を覗き込んだ瞬間、室内で倒れている村上の姿が彼らの目の前に飛び込んできた。


「む、村上さん!?」


「どうしたんですか!?」


「しっかりしてくれ、村上の兄貴!」


3人の男達は慌てて村上に駆け寄り、彼の側にしゃがみ込んだ。


村上は顔をしかめながらゆっくりと上体を起こし、顔に出来た痣を左手で気にしながら口を開く。


「ぐっ……あ、あの小娘が逃げやがった……い、急いで全員集めろ……」


『へ、へい!』


3人の男達は村上の指示に答えると、急いで部屋から出ていった。


村上は、側に落ちていたルフォーショー・ポケット・リボルバーを右手で拾い上げ、憎悪に満ちた鋭い眼差しを露にした。


「くそっ……あのアマ、ふざけやがって……必ず見つけ出して、蜂の巣にやる……!」


そして、村上は力を振り絞り、ゆっくりと立ち上がった。
スポンサーサイト



 

comment form

管理者にだけ表示を許可する

comment

 
プロフィール

ジェド(jed)

Author:ジェド(jed)
ツイッター(@jed_restart)
https://twitter.com/jed_restart

オリジナルグッズ販売中!
https://jed-vin.booth.pm/

最新記事
最新コメント
カテゴリ
PR
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR