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第三章 真意 後篇 34

その衝撃は地面にまで伝わり、白く細かい砂を巻き上げると同時に、村上の後頭部を通して砂浜を陥没させた。


やがて、海岸に静寂が戻ると、穏やかな海風が砂浜に吹き込んできた。


村上が率いていた男達は、義明や守優達の活躍によって全員倒され、砂浜の上で力尽きたまま体を横たえていた。


一方、梨奈が村上の顔面に突き立てた右拳を右脇まで引くと、彼女の足元に仰向けで倒れている村上も白目を剥き、気絶したまま動かなかった。


梨奈は残心したまま息を荒らげ、倒れたまま微動だにしない村上を見下ろしている。


すると、そこへ義明が駆け寄ってきた。


「梨奈!」


彼の声に気づいた梨奈も構えを解くと、安堵したような表情を浮かべて、義明に駆け寄る。


「先生!」


そして、梨奈と義明は互いを強く抱き締め合った。


抱擁を交わす中で、梨奈は涙を流しながら詫びの言葉を口にした。


「ごめんなさい、先生……勝手に家出したりして……私、先生に言われるまま型稽古ばかりしてるのが嫌だったんです……型なんか実戦じゃ役に立たない……それよりも組手をしないと、いつまでもたっても強くなれないんじゃないかって思ってて……でも、あの時先生が私に組手をさせなかった理由、やっとわかりました……実戦で強くなるために型稽古をすることが、どれだけ大事なことか……その大事な基礎を疎かにしてた私が、どれだけ未熟だったか……先生、本当にごめんなさい……これからは、ちゃんと型稽古頑張ります……だから、また先生にティーを習ってもいいですか……?」


「梨奈……」


義明は、彼の胸の中ですすり泣く梨奈の言葉を聞きながら、少々驚いたような表情を露にしていた。
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