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第三章 真意 後篇 39

2週間後、東村――


昼間、多くの人々が行き交う街の中心部では、1人の若い郵便局員の男性が通りを走り抜けていた。


若い男は郵便記号の付いた丸笠を頭に被り、襟付きの黒い上着と同色の半ズボン、脚絆から構成された制服に身を包み、蝦蟇口のズック鞄を肩から斜めに提げている。


額に汗を滲ませ、やや息を弾ませながらしばらく走り続けていると、若い男は光永の屋敷に到着し、門をくぐり抜けてその敷地内へと足を踏み入れた。


そして、若い男は歩きながらズック鞄を開け、中から1枚の白い長形封筒を取り出すと、離れ家の前で立ち止まった。


「ごめんくださーい! 郵便でーす!」


すると、離れ家の中でそれぞれ机に座り、和罫紙に羽根ペンを走らせていた光永、守央、世璋の3人は、若い男の呼び掛けに気づいた。


「ん?」


「新しい依頼でも来たか?」


「どれ、俺が見てきてやるよ」


世璋はそう言って椅子から立ち上がると、縁側の雨戸を開けて若い男と応対した。


「おう、ご苦労さん」


「お忙しいところ、失礼致します。光永三郎(さぶろう)様宛てに、お便りが届いております。どうぞ」


「いつもありがとな。確かに受け取ったぜ。ああ、そうだ。ちょっと、待っててくれ」


世璋は若い男から封筒を受け取り、それを懐に仕舞い込むと、雨戸を開け放したまま一度離れ家の奥へ引っ込む。


そして、チューカーと呼ばれる陶製の急須と白い湯飲み茶碗を手にして、再び若い男の目の前にやって来ると、世璋はチューカーから冷たいさんぴん茶を湯飲み茶碗に注いだ。


「この時期は暑くて死にそうになるからよ。小休止がてらに、これでも飲んでってくれ」


「あ、ありがとうございます! いただきます!」
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