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第三章 真意 後篇 40

若い男はそう礼を言うと、世璋から白い湯飲み茶碗を受け取り、一気にさんぴん茶を飲み干してから、湯飲み茶碗を世璋に返した。


「あぁ~、旨い! ごちそうさまでした! ここに来るまで、もう喉がカラカラで……」


「休憩は、取れる内に取っておかないとな。お互い、無理せずやろうぜ?」


「はい、ありがとうございました! では、失礼致します!」


「おう!」


世璋は、走り去っていく若い男の後ろ姿を見送ると、部屋の壁沿いにある棚の上にチューカーと湯飲み茶碗を置き、雨戸を閉めた。


再び部屋の中に戻ると、彼は懐に仕舞い込んでいた封筒を取り出し、光永に差し出す。


「ほい、旦那。あんた宛てだってさ」


「ああ、すまんな」


光永がそう答えながら封筒を受け取ると、世璋は自分の机に座り直し、再び和罫紙に羽根ペンを走らせ始めた。


一方、光永は机の上のペン立てに羽根ペンを立て、封筒に書かれた差出人の名前に目を向けている。


「知り合いの弁護士からだ。恐らく、先日の松浦商会と村上商会の抗争について、何か進展があったのかもしれん」


光永がそう言いながら封筒を開け始めると、守央と世璋も手を止め、光永の方を振り向いた。


「確かこの前、光永さんからその弁護士に抗争の和解あっせんを依頼したんでしたよね?」


「本当は弁護士の判断でさっさと仲裁した方がいいんだろうけど、あいつらが弁護士の言うことなんて聞くとは思えねぇしな~……」


世璋がそうぼやくと、光永は封筒の中から幾重にも折り畳まれた手紙を取り出し、それを横長に広げて手紙の内容に目を向け始めた。
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