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第一章 初戦 5

深緑色の大きな風呂敷に包まれているその壺は、一部が割れてしまっている以外辛うじて原型を留めており、その白を基調とした青く美しい模様が風呂敷の隙間から僅かに顔を覗かせている。


壺の模様を見た世璋は、眉をひそめると共に小声で守央に話しかけた。


「なあ、守央」


「ん?」


「今朝来た依頼書に書いてあった、盗まれた壺ってどんなやつだっけ?」


「ああ、白が基調で青い模様があるやつだ」


「あれ、そうだよな?」


守央は、世璋が指差した壺の模様に目を向ける。


「なるほど。特徴も一緒だな」


そして、守央は再び鋭い眼差しで男の顔を見据えた。


「なあ、あんた。その壺、ちょっと見せてくれないか?」


「な、何だよ……何か怪しいところでもあんのか?」


男がしどろもどろになりながらそう答えると、今度は世璋が口を開いた。


「俺達は探偵だ。実は今朝、盗まれた壺の捜索依頼を預かってな、調査の参考にその壺を調べさせてもらいたいんだが……」


しかし、世璋がそう言い欠けた刹那、男は慌てて後ろを振り返って世璋達に背を向けると、足元の壺を置き去りにしてその場から全速力で逃げ出した。


守央は逃げ去ろうとする男の後ろ姿に向かって叫ぶ。


「おい、待て!!」


すると守央の叫びと共に、守善と呼ばれた青い上衣を着た青年が、逃走を続ける男の後ろ姿目掛けて全速力で走り出した。


守善は男との距離をみるみる縮め、左手で男の左手を掴むと、すかさず男の伸びきった左肘に右の手刀を当て、男を勢いよく地面に叩きつけるようにうつ伏せで倒した。


抵抗出来ずに顔をしかめる男を守善がその場で地面に押さえつけていると、そこへ守央と守優が駆けつけた。


「よくやった、守善!」


「さすがです、兄上!」


守央と守優にそう言われると、守善はその穏やかな瞳によく似合う、小さな笑みを口元に浮かべた。
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