FC2ブログ
 

第一章 初戦 45

庇の下に立った守善が縁側の雨戸を開けると、すぐ目の前には淡い灯りに照らされた床張りの廊下が横切っていた。


守善は、守優と共に縁側へ顔を覗かせ、廊下の左奥に目を向ける。


「母上~! ただいま戻りました~!」


「戻りました~!」


すると、すぐに廊下の左奥にある三番座と呼ばれる畳張りの居間の襖障子が開き、肩の辺りで長い黒髪を白元結で結んで垂らした若い女が姿を現した。


守央よりやや年下と見られる若い女は、テッポウユリの花模様が入った桃色の足首丈の着物と同色の帯を身に着けており、その大きく垂れ目がちな眼差しと穏やかな笑顔が、年相応の女性らしい若々しくもおしとやかな印象を感じさせる。


「あら、2人共。お帰りなさい。もう夕飯の時間だから、先に着替えて待ってなさい」


『は~い』


守優と守善はそう答えると、沓脱ぎ石の上で草鞋を脱ぎ、裸足で家の中に足を踏み入れて、廊下の左奥へと歩き去っていった。


若い女は、縁側の前で立ったままの守央と話を続ける。


「お帰りなさい、あなた」


「ただいま、百合(ゆり)。遅くなってすまなかったな」


「いいえ、お構い無く。それにしても、守善と守優はいったいどこまで行っていたんでしょう? あんなに着物を汚して……」


「実は、辻でカキダミシをさせてたんだ。世璋と由佳も一緒にな」


「まあ……辻でカキダミシ? しかも世璋様と由佳ちゃんまで……あんな遊廓でどうしてカキダミシなんか……?」
スポンサーサイト



 

comment form

管理者にだけ表示を許可する

comment

 
プロフィール

ジェド(jed)

Author:ジェド(jed)
ツイッター(@jed_restart)
https://twitter.com/jed_restart

オリジナルグッズ販売中!
https://jed-vin.booth.pm/

最新記事
最新コメント
カテゴリ
PR
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR