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第一章 初戦 47

一方、守央達の家から少し離れた所にある世璋の家でも、由佳と世璋が門をくぐって家の敷地内へと足を踏み入れていた。


母屋の庇の下に立った由佳が縁側の雨戸を開けると、由佳と世璋は沓脱ぎ石の上で草鞋を脱ぎ、目の前を横切る淡い灯りに照らされた廊下に裸足で上がり始める。


「母上様~!ただいま戻りました~!」


「葵(あおい)~!帰ったぞ~!いや~、疲れた疲れた~……腹も減ったし、今日は飯食って早く寝……て……」


世璋がそう言い欠けてふと前方に目を向けた瞬間、突然彼は言葉を失い、表情が固まったままその場で微動だにしなくなった。


見ると彼らの目の前には、オオハマボウの花模様が入った若紫色のふくらはぎ丈の着物と同色の帯を身に着け、左に流した前髪と肩までかかる長い黒髪が印象的な若い女が立っていた。


葵と呼ばれたその若い女は世璋よりやや年下と見られ、一見するとにこやかな笑みを浮かべているようにも見えるが、胸の前で両腕を組んで仁王立ちするその姿から、まるで燃え盛る炎のような激しい怒りが感じられる。


「お帰りなさ~い、世璋。ところで……」


彼女の不気味とも思える雰囲気を感じるあまり、世璋は顔を青ざめさせて白目を剥き、体や口をガタガタと震わせていた。


そして、葵はカッと鋭い目を剥くと、家ごと揺り動かさんばかりの勢いでその怒りを爆発させた。
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