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第一章 初戦 48

「こんな時間までどこほっつき歩いてたのよ、この馬鹿ぁーーーーーーっ!!!」


「ひぃ~~~~~~~!!すいませんでしたぁ~~~~~~~!!」


世璋は怯えるあまり情けない悲鳴を挙げ、滅多に口にしない敬語すら使って許しを請うた。


しかし、葵の怒りは既に頂点まで達していて収拾がつかない。


「だいたいあんたはいっつも夕飯ギリギリまで帰って来ないし、いったいどこで道草食ってんのよ、この阿呆亭主!!」


「うわわっ!!ま……待ってくれ、葵!!今日はちゃんと訳があって帰りが遅くなったんだ!!今日は守央達と由佳を連れて……!!」


すると、世璋がそう弁解し始めた瞬間、由佳はのんきそうな口調で世璋の言葉を遮るように口を挟んだ。


「母上様~、もうあたしお腹ペコペコ~」


「大丈夫よ、由佳。晩ご飯はもう出来てるから、着替えて先に食べてなさ~い」


先程とは打って変わり、葵が穏やかで調子の良い口調で由佳の言葉に答えると、世璋はすかさず由佳に助力を懇願する。


「お……おい、由佳!待ってくれ!お前からも葵に説明を……!」


しかし、世璋がそう言い欠けた瞬間、葵は再び怒りを取り戻して世璋の言葉を遮った。


「あんたはこっちよ、世璋!!酒が入ってないかどうかと、女遊びしてないかどうかを確かめさせてもらうから、こっちに来なさい!!」


「ご、誤解だ!!待ってくれ、葵!!は、話せばわかる!!いや、話し合おう!!今回はマジで違うんだって……!!」


「はいはい、こっちに来た来た!」


「俺は無実だぁ~~~~~~~!!!」


世璋が再び情けない断末魔を挙げると、やがてその余韻は星々が輝く漆黒の夜空へと空しく消え去っていった。
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