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第二章 真意 前篇 5

松浦が命乞いすると、少女は左手で松浦の胸倉を掴み上げ、瞳孔の開いたその不気味な眼差しで松浦の顔を見据えた。


対する松浦は、少女に胸倉を掴み上げられたまま唇を震わせ、ますます怯えた様子を見せている。


「あがっ……! た、助けてくれ……! か、金が欲しいなら……いくらでもくれてやる……! だ、だから――」


すると、松浦がそう言い欠けた瞬間、襖が開かれたままの部屋の出入り口から、別の男の声が聞こえてきた。


「そうやって命乞いをしてきた俺の仲間達を、お前は何人痛めつけてきたか覚えてるか、松浦?」


松浦は自らの名を呼ばれると、怯えながらも我に返り、部屋の出入り口の方に目を向けた。


そこに立っていたのは、立浪文様の入った藍色の着物と同色の帯を身に着けた、短い黒髪の男だった。


狐のような細く鋭いつり目と、やや面長な顔立ちが印象的なその男は、口元に不敵な笑みを浮かべており、背後に別の十数人の男達を引き連れている。


松浦は、その狐顔の男についてよく知っていた。


「む、村上……!?」


「久し振りだな。元気そうで何よりだぜ」


「て……てめぇ! なんでここに……!?」


「なんでもくそもあるもんかよ。お前の部下が俺の大事な仲間達をさぞかし可愛がってくれたって聞いたもんでな、挨拶に来てやったんだよ」


「な……なんだと、てめぇ! よくもそんな口聞けたもんだな! だいたい、一番最初に俺達の縄張りを荒らしたのは、てめぇらだろうが!」


「ハッ! 何とぼけたこと抜かしてんだ、この能無しが! あの海域は40年前に俺の先祖が縄張りにし始めてから、今日までずっと俺ら村上商会のもんだってのが周知の事実なんだよ!」
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