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第二章 真意 前篇 25

守央はそう言いながら左の懐に右手を突っ込むと、懐から銀無垢のハンターケース型懐中時計を取り出した。


上蓋と裏蓋に魚子模様があしらわれたその鎖付きの懐中時計を守善に手渡しながら、守央は話を続ける。


「これを持っていけ。俺の懐中時計だ。夜の7時になったら、西武門(にしんじょう)で合流しよう」


「わかりました。父上と世璋さんも、どうかお気をつけて」


「ああ、ありがとう」


「じゃあ、また後でな」


「はい、よろしくお願いします」


守善がそう答えると、彼ら5人はその場で別れた。


守央と世璋が丁字路の西方向へと歩いていくと、守善、守優、由佳の3人は反対に東方向へと歩き出し、再び帰路に着く。


守優と由佳は並んで歩きながら、嬉々とした表情を浮かべて話をし始めた。


「15歳ってことは、俺達と同い年だよな? どんな奴か楽しみになってきたぜ」


「もし友達になれたら、一緒にティーの稽古とかも出来そうじゃない?」


「ハハッ、それいいな!」


一方、守優と由佳が楽しげにそう会話している中、彼らの後ろをついて歩く守善は懐中時計の竜頭を押し、文字盤の上蓋を9時方向に開いた。


懐中時計の白い文字盤には、時を示すローマ数字が1分ごとの目盛りと共に黒く刻まれており、秒針と連動して動く長針と短針が、現在時刻として午後2時20分を指し示している。


「夜の7時まで、あと4時間40分……その間に、辻で15歳の女流武術家を見つける。相手はカキダミシの作法を守らないかもしれない。けど、これもある意味真剣勝負……ティーの修業になるなら、僕達も手を抜く訳にはいかないな」


守善は真剣な表情を露にすると、懐中時計を握り締めながら心の中でそう呟いた。
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