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第三章 真意 後篇 5

「いや、そんな悠長なことをしている時間は無さそうだ。もし本当に村上商会が、あの梨奈という少女を使って松浦商会の人間を襲っているのだとすれば、なるべく早い段階で手を打たなければ状況が深刻化する恐れがある。そうなれば、あの少女を長嶺殿のもとへ連れて帰るのも、ますます難しくなるだろう」


光永がそう答えると、今度は世璋が光永に向かって疑問を呈した。


「じゃあ、どうすんだよ? 今俺達が持ってる手掛かりだけじゃ、松浦達や長嶺の旦那の弟子を探すのは無理なんだろ? どうやって情報を集めりゃいいんだよ?」


「ふ~む、そうだな……」


光永はそう言いながら、再び煙管を口にくわえて煙草を吸い始める。


そしてしばらくすると、光永は口から白い煙を吐き出し、言葉を続けた。


「こうなったら、やむを得ん。出来ればこういうやり方は避けたいと思っていたが、最後の手段に出るとするか」


光永はそう言うと、煙管の火皿に残っていた灰を全て灰皿に落とし、机の引き出しの中から取り出した紙縒りで、煙管の中を掃除し始めた。


「世璋、守央、今から西村の港にある村上商会専用の倉庫まで行くぞ。奴等から直接話を聞いて、新たな手掛かりを探し出す」


「はぁ!?」


「ちょ……ちょっと待ってください、光永さん! 確か、直接話を聞きに行ったところで、村上商会が本当のことを喋るとは思えないって話じゃ……」


世璋と守央が慌ててそう言うと、光永は煙管と紙縒を灰皿の上に置く。


「申し訳無いが、昨日私が言ったことは一部撤回だ。確かに、ただ単に聞き込みをするだけでは、奴等も口を割らないだろう。だが、相手は所詮海賊だ。ならばこちらも容赦する必要は無い。適当に痛めつけて、有力な手掛かりが得られるまで尋問しよう。どんな手を使ってでも、奴等から情報を聞き出すぞ」


そして、光永はそう言いながら立ち上がると、背後のコートラックに掛けられた中折れ帽を被りながら、鋭い眼差しを露にした。
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